正座すると膝が痛い原因【膝の動き】【股関節の動き】【足首の動き】を解説

膝痛

日本の伝統的な座り方である「正座」。しかし、正座をすると膝が痛くなる、あるいは正座ができないという悩みを抱えている方も少なくありません。今回は、正座時の膝の痛みや、正座ができない原因を関節の動きの観点から詳しくご紹介します。

正座をした時の膝関節の動きと負荷

正座は、膝関節を最大屈曲(約150~160度)する姿勢です。このとき、膝の骨の動きはどのようになっているでしょうか?

  1. 膝関節の屈曲:
  • 膝を曲げる角度が重要です。しゃがむときに必要な膝を曲げる角度は120°ですが、正座をするときに必要な膝の角度は150°とかなりの角度が必要になります。曲がりの足らない膝を曲げているとその分負担が大きいと考えられます。
  1. 脛骨の後方移動:
  • 膝が深く曲がる際、脛骨(スネの骨)が後方へ動きます。後方へ動かないと体重をもろに膝の骨たちで支えなくてはならず、痛みの原因になります。しっかりと後方へ骨が動くと体重を分散してくれるようになり膝への負担が減ると考えられます。

  1. 膝蓋骨(膝のお皿)の固定
  • 膝蓋骨は膝の屈曲に伴い、大腿骨の溝にはまり込んで、固定されます。膝蓋骨が固定されると大腿四頭筋が安定して正座の姿勢をキープすることができます。
  1. 半月板の後方移動
  • 半月板は膝関節が曲がったときに後方へ移動し、過度な圧迫を避ける役割を果たします。半月板の動きが制限されていると膝を曲げたときに半月板が引っかかって痛みが生じます。

これらの動きが正常に機能しないと、正座時に痛みや違和感が生じます。

股関節・足首との連動

膝関節単独で正座をすることはできません。股関節と足首の柔軟性・可動性が正座に大きく関わります。

  1. 正座をしたときの股関節の動き

正座時、股関節は屈曲・内旋(股関節を曲げて内にねじる動き)を伴います。

  • 股関節屈曲(約120~130度)

股関節が曲がらないと、膝をより曲げなければならないので膝への負担が増加します。逆を言うと股関節がしっかり曲がると膝への負担を減らすことが可能です。

  • 股関節の内旋制限(内にねじる動き)

正座をするときは股関節を折りたたむような動きが必要になるので、股関節を曲げるだけでなく内にねじる内旋という動きが必要になります。内旋可動域が不足すると、股関節が曲がっても正座のように膝を折りたたんで座ることが困難になります。

  • 腸腰筋や大殿筋の柔軟性

股関節の前面の筋肉(腸腰筋)や後面の筋肉(大殿筋)の柔軟性が乏しいと、股関節の動きが制限されてしまうため、正座が困難になります。関節だけではなく、筋肉の柔軟性も重要です。

  1. 正座をしたときの足首の動き

正座では足首が下に向く動き(最大底屈約45度)が起こります。

  • 足関節の底屈

ふくらはぎの筋肉(腓腹筋・ヒラメ筋)が硬いと、足首が十分に伸びず、膝に負担が集中します。

  • 足首の回外と内転

足首が下に向くだけではなく、正座では足首を折りたたむような動きをしなければならないので、足首が内にねじれる(回内)動きがないと、正座がスムーズにできません。

治療方針

正座をするときの関節、骨の動きを考えて、関連する筋肉、神経の働きを正常化するように治療します。膝、股関節、足首の動きが正座に適した動きにすることで総合的に正座ができるようにしていきます。

「今までできていたのに、最近正座をすると膝が痛い」「正座しにくくなってきた」とお困りの方は是非一度中川カイロプラクティックにお越しください。