ゴルフで起こる腰痛 ~カイロプラクターが解説~

ゴルフ

先日、ゴルフをすると右の腰が痛くなると言って60代男性が来院されました。
その患者さんによると「最近、球を遠くに飛ばそうと思ってスイングを変えた」とのことでした。
そこで、今回は腰痛の原因と正しいスイングのポイントについて詳しく解説します。

ゴルフスイングで腰痛が起こる原因

ゴルフスイングは体を回旋(ひねる)する動作が多く含まれています。
しかし、この回旋運動が適切に行われないと、腰に過剰な負担がかかり、痛みを引き起こすことがあります。
とくに、側屈(体を横に倒す動き)や腰がスウェー(横方向へズレる動き)してしまうスイングは腰痛の原因になります。

腰痛を悪化させるゴルフスイングの特徴

腰をくの字に曲げて骨盤と腰を横にスライドさせながら球を打とうとしています。
その結果、右腰には常に圧縮されたような緊張が生じ、痛みが取れにくくなります。

腰に負担をかけない正しいゴルフスイング

体の回旋で球を飛ばすスイングでは、腰に負担がかかりません。
さらに、肩や股関節を正しく使うことで、腰へのストレスを減らすことができます。

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ゴルフスイングで考えられる全身の動き

ゴルフで起こる腰痛と股関節の可動性の関係

股関節の柔軟性が低いと、スイング時の体の回転を腰だけで行うことになります。
そのため、腰椎(腰の骨)に負担が集中してしまいます。
とくに、右の股関節の内旋が足りないと蹴り足がうまく使えず、球の距離が伸びません。

ゴルフで骨盤の回旋制限が腰痛に与える影響

下半身のひねりの後は骨盤のひねり運動が起こりますが、左右骨盤がしっかりとひねれないとスイングが途中で制限されてしまいます。骨盤が右にねじれないとテイクバックができませんし、左にねじれないとフォロースルーができません。特に骨盤が安定していないと、腰椎の過剰な動きが生じ、痛みを引き起こす原因になります

ゴルフで胸椎の回旋不足による腰痛リスク

スイングでは腰の骨(腰椎)だけでなく背中の背骨(胸椎)の回旋も重要です。胸椎の可動性が低いと腰椎が無理に回旋しようとします。その結果、腰に負担がかかり、腰痛を引き起こすことになります。

ゴルフで肩関節の可動性不足による腰痛との関係

腕がしっかりと動くと上半身の動きが大きく使えるようになるのでスイングで腰を使う必要がなくなります。これは手打ちするというわけではなく、大きな可動域があればその分無理なくテイクバックからフォロースルーの幅を広げることができます。

悪いスイングを続けると腰痛が悪化する理由

体を右に傾けて手の力を使うパワーゴルフを繰り返していると、最初は右の腰が張る程度ですが、徐々に痛みがひどくなったり、足に痺れが出たりします。
これは、腰を横に傾けることで腰から足に出ている神経が圧迫されるために起こります。

ゴルフをすると右の腰が痛くなると言って来院された60代男性の治療例

「最近、球を遠くに飛ばそうと思ってスイングを変えた」とのことでした。

腰の右側に縦スジで痛みが出ていました。さらに最近はゴルフをしなくても常に腰が痛くなってきて、右の太ももにまで痺れと痛みが出ることもあるとのことでした。

腰を触ると右の腰の筋肉が膨隆しており、腰の骨は「くの字」にゆがんで体が右に傾いていました。

これらから考えられるのは、パワースイングに変更したことで、普通であれば体を回旋しなければならないところを体を右へ傾けて手の力で球を打ちに行ってしまっていると考えられました。

1回目の治療後腰のひどい痛みは軽減され、太ももの痛みとしびれも軽減されました。

2回目の治療で腰と太ももの痛みがひどい痛みではなく、忘れていることがずいぶん増えたとのことでした。

3回目の治療でゴルフを長時間やらなければ腰の痛みが出ることは無く、スイングが以前より傾かなくなってきたとのことでした。

そこから患者さんのゴルフの頻度とフォームによって痛みが出ることもありましたが、治療を継続していくと、ほぼゴルフをしても痛みは無くなり、太ももの痛みやしびれは無くなりました。スイングもきれいに回旋できるようになり、最近ではゴルフ仲間から「急に球の飛距離が上がってなにかあったのか?」と驚かれているとのことです。

この患者さんはもっと球の飛距離を伸ばしたいと考えてパワーゴルフをしてしまったために腰を痛めました。腰を痛めないスイングをお伝えするとパワースイングをやめて時間がかかってもちゃんと治したいと自分のスイングを見直す努力と治療を根気よく続けたので結果的に早く治りました。

まとめと腰痛予防のポイント

ゴルフをするにあたり、制限されている体の動きを改善すると、次第に回旋の力もついてきます。
その結果、無駄な力を使わずに球を遠くに飛ばせるようになります。
つまり、体の状態を整えてから正しいスイングを練習することで、腰痛を防ぎつつ上達が早くなるのです。

編集者

柔道整復師・鍼灸師・カイロプラクター 

稲益健人